世界のハラール認証、統一化の動向

ハラール、ハラームの判断の法源となっているイスラーム法(シャリーア)の解釈は、イスラーム世界の各地に在住する特定小数のイスラーム法学者(ウラーマ)のみが行いますが、法学者の属する国や地域、学派、宗派、使用言語などによってそれぞれに解釈が異なり、イスラーム世界全体で公認された統一解釈といったものはありません。

したがってハラールの法解釈やそれに基づくハラールの基準や規格にも、国や学派あるいは宗派により差異があります。そこへ、それぞれの国益や既得権益、複雑な国情や国際情勢などが絡み合い、それぞれの国がその国の必要に応じて独自のハラール規格を採用してきた経緯があり、ハラール認証には国際的な統一基準はなく、トラブルの原因となってきました。

2013年には、マレーシアの海外における公認ハラール認証団体として認定されなかった米国の認証団体がそのことを不服として、それは米国の独占禁止法に違反しているとして、審査決定したマレーシア政府系のハラール認証機関である「JAKIM」を米国の最高裁判所に訴えるという訴訟事件も起きています。

近年、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、わが国がかかわるものだけでも、経済規模・人口・参加国数のいづれにおいても巨大な多国間での自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)締結に向けて交渉が進んでおり、これまでの協定を加えると、世界の経済連携はますます重層化・緊密化・複雑化してきています。

これらの協定は、関税や各種関税障壁などの削減・撤廃を品目ごとに細かく規定しており、グローバル化したビジネスワールドに大きなインパクトを与えています。ハラール認証についても、それが自由貿易の障害となる関税障壁の一種であると見なし、快く思わない国々も少なくありません。特に、国によってハラールの基準や規格がバラバラであることは、事務手続きの上からも煩雑で、大きな障壁であると考える人々は大勢おります。

このような状況下、イスラーム世界においても、ハラール認証統一化への動きは、近年になって活発に動き出してきました。目まぐるしく変化する世界の通商貿易の中、世界のハラール認証の基準とそれに伴う手順や手法を統一し、あるいは相互承認することでハラール商品の流通が一層活発になり、ハラール産業の発展拡大につながると同時に、世界中のムスリム社会に貢献することを可能にするからです。

ハラール認証の相互承認については、イスラーム諸国がそれぞれ「ハラール認証相互受け入れ協定」を締結することにより発効するのですが、イスラーム諸国の国家間の関係は必ずしも良好とはいえず、ハラール認証の相互承認を世界中で洩れなく締結するということは効率的で賢明なやり方とは言えません。したがって現在では、ハラールの世界標準規格(Global Halal Standard)を導入することによって、世界ハラール統一規格システムを開発普及していこうという動きが活発になってきています。

しかしこれも先行きは多難が予想されます。イスラーム諸国の中で大国と呼ばれるいくつかの有力な国々の間で、ハラール認証統一化の主導権を巡って激しく競り合っているからです。

 

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