グローバル ハラール マーケット

 

世界中に約16.5億人のムスリムが住んでおり、18.5億人のハラール消費者が存在します。つまり人類の4人に1人はハラール製品を消費していることになるのです。ハラール製品消費者数とムスリムの数の間に2億人の差が生じているのは、たとえばインドネシアやバングラデシュのようにムスリムが大多数を占めている国では、ほとんどの食物がハラールであり、そのような国に住む非ムスリムたちもハラール製品の消費者として含めたためです。

 

現在、東南アジアと中東がハラール製品の主要な市場であり、これらのマーケットへの牛肉などの主な供給源(輸出国)はオーストラリアやニュージーランドなどです。これらの国々の政府は、ハラールプロジェクトの実施に非常に積極的かつ協力的であり、世界中にハラール認証された製品を輸出するための市場開拓の努力は勢いを得つつあります。東南アジアには2億5千万人以上のハラール製品消費者が住んでおり、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどはかなり以前から,ハラール認証を受けた製品の輸入をコントロールするための規則を制定し、タイやフィリピン、その他の国々もハラール認証された製品の価値を認識し、ハラール製品の輸出入促進のための規則や法整備をしています。ASEANの多くの国々への輸出には、最もシンプルな野菜の輸出でさえハラール認証が要求されるのです。またこの地域では非ムスリムの消費者でさえ、ハラールは良い品質と健康増進のシンボルであると認めているほどです。

 

中東諸国はフードサービス業界、小売市場のいずれにおいても加工食品分野では純輸入国で、サウジアラビアやアラブ首長国連邦をはじめ、他の中東の国々も何十年にもわたって食料品を輸入してきました。北アフリカやその他のアフリカ諸国も一部に問題がありますが、それでも政治・経済情勢が安定し改善されるにつれて、それらの国々への加工食品の輸出が始まっています。

 

インド、パキスタン、バングラデシュなどの国々からなる南アジア地域は約13億人が住んでおり、そのうちの4億人以上がムスリムです。この地域はかつて農業が経済の中心でしたが、近年の工業化の進展とともに、フードサービス向けなどに加工食品を輸入しています。

 

1980年代後半から1990年代前半にかけて、米国で、ハラールフードに関する東南アジアと中東市場の潜在購買力が認識評価され、結果として米国内のハラールフードの生産とハラール認証件数が増加しました。その後、この動きはその対象地域を 南アジア、北アフリカ、地中海地方、ヨーロッパ、中央アジアへと拡大していきました。

 

ムスリムが多数を占める国々と取引した欧米企業の利益は多大なものとなり、シンガポールや南アフリカのようなムスリムが少数派の国々においてさえも、ハラールフードビジネスは良い商売になることが証明されたのです。シンガポールではムスリム人口は全体の16%にすぎませんが、ハラール産業はビッグビジネスになっており、マクドナルド、A & W、ケンタッキー・フライドチキンなどは、シンガポールでは100%ハラールの国際的ブランドなのです。

 

ハラール製品を供給あるいは提供できる企業には、商機に恵まれるチャンスは絶えず増加し続けています。ムスリムたちは西欧的なものの最良の部分を、彼らが持ち合わせている東洋文化とブレンドし始めており、この傾向はイスラーム世界全体に広がってきています。加えて最近の、一部の西洋諸国でのイスラム教徒(難民・移民)の受け入れや便宜供与は、ムスリム共同体(社会)の態度、心情を大きく変化させてきていますが、それでもハラールなものしか食べないという食事の禁忌はなくなりそうもありません。

 

かつてムスリムたちは、欧米の食物がハラールの食事規定に合致しないという単純な理由で欧米の食品を避けていましたが、今日では東南アジアや南アジアのムスリムは、自分たちの存在をハラールによって社会的にあるいは政治的に印象づけ、自分たちの食生活のニーズ、自己のアイデンティティに合致・適合した製品・サービスを要求するようになってきています。彼らは、ムスリム消費者のこのようなニーズに応えてくれる生産者や企業に、より多くの便宜とチャンスを提供し協力しようとしています。