インバウンド/食事系店舗            メニューにより4種の(カテゴリー)に区分

 

近年、円安やビザ発給要件の緩和、LCCの就航増加などの要因で、東南アジアをはじめ、イスラーム圏からの観光客などの来日が増えてきています。平成14年度はインバウンド観光客数は1340万人と大きく増加し、いわゆる観光地といわれている処だけでなく、観光コースから外れた場所にも大勢のインバウンド客が訪れています。我国政府が掲げた目標、年間2000万人の大台に乗るのも案外早いかもしれません。高度に発展した社会インフラなど近代物質文明と、長い歴史を経て、練り上げられ磨き上げられた伝統文化が、ほどよく調和して併存する日本の風物は、彼らの興味と探究心を大いに刺激するのでしょう。イスラーム諸国の経済発展に伴い、ムスリムの来日は、今後ますます増加すると見込まれます。

私たちのNPO法人「日本ハラール振興会」が、主たる活動地域としている京都は、一大観光地であり且つ多くの大学が集まる大学都市でもあるので、一人でも多くのムスリム観光客や留学生に来てもらおうと、ムスリム受入れ対策に、官・学・民が一体となって、熱心に取り組んでいます。

先日、京都のあるホテルで京都市、京都商工会議所、京都大学、宗教法人「京都ムスリム協会」の4者と一般市民も交えて、京都でのムスリム受入れ対策について、話し合う会合が持たれました。その会合で、宗教法人から、ハラール・ステイタスの見地から、ムスリムとムスリムをお客として受入れる店舗・レストランを4つに区分して対応したらどうかという意見・提案が出たのでご紹介します。京都に拠点を置く当会も、この考え方を基にハラールに関する業務を行なっています。

一口にムスリムと言っても昨今はいろんなムスリムがおり、ハラールの規定を順守しながらも、ハラールに対する対処・対応の仕方に個人差があります。イスラームが一大世界宗教となった今、これは必然的なことと言えるでしょう。

非イスラーム国である日本で、それぞれのお店がすべてのタイプのムスリムを、一様に全部受け入れるのは実に大変なことです。そこで、便宜上、ムスリムを4つのタイプに分け、お店がどのタイプのムスリムをお客として受け入れようとするかにより、営業上のハラール対応も違ってくるのは当然であるという考えです。 ムスリムの4つのタイプとは、次のようなものです。

 

Inboundムスリム客の立場は4種類(いろんなムスリムがいるということ。)

豚肉・飲酒は全員ダメです。例外なし。

(1) 肉はハラール肉のみ(ノン・ハラール肉はダメ)、みりんもダメ。

(2) 肉はハラール肉のみ。ハラール以外の肉はダメ。みりんはアルコール分が加熱などで飛んで            しまえばかまわない

(3) 牛・ヒツジ・鶏肉など(ノン・ハラール肉)はOK,みりんはダメ。

(4) 牛・ヒツジ・鶏肉など(ノン・ハラール肉)はOK,みりんもアルコ-ル分が飛んでしまえばOK.

どのタイプのムスリム客を対象とするかにより、お店のカテゴリー・種別・呼称も変わってくる。

ただし(2)(3)(4)タイプのムスリムを受け入れるお店は、ハラール認証はされません。 Assalam Menu の表示はできます。

(注)ノン・ハラール肉とは、豚などイスラーム宗教法上、ハラームとして絶対禁止とされた動物以外の動物肉(たとえば牛肉、羊肉、鶏肉など)であっても、イスラームの流儀で屠畜されなかったので、そのままではムスリムが食することの出来ない動物肉のことを指します。

 

お店の4つのカテゴリー  

   
カテゴリー 説   明 豚肉・アルコール系食材、肉の使用など

Halal

ハラール

店舗全体がハラール仕立てあるいはハラールメニューはハラール専用の調理場で調理。

ムスリムの食事はすべてハラール食材を使用。   ムスリム向けメニューはすべてハラール。

日本人客などへの酒類の提供はハラールメニューでなく、一般メニュー/別メニューで提供。

ハラール認証はしてもらえる。認証可

店全体で豚肉・豚由来製品なし、不使用。

調理にアルコール系(日本酒、料理酒、みりんワイン等)不使用。

肉料理がある場合は、ハラール肉のみを使用。ノン・ハラール肉は不使用

Muslim Friendly

ムスリムフレンドリー

店舗全体が、必ずしもハラール仕立てでない。同一店舗(調理場など)をハラールとノン・ハラールの両方で共用。ただし調理器具、用具は共用厳禁。

ムスリム客には、専用の「ハラール・メニュー」を用意し、その食材はすべてハラール食材のみを使用。その旨明示。

それ以外のメニューは、一般客向けの一般メニュー。

酒類は、一般メニュー/ 別メニューで提供。

ハラール認証はしてもらえない。認証不可。 

Assalam Menuなどの表示は可。

豚肉・豚由来製品(加工品など)は皆無。

ハラール・メニューでは、調理にアルコール系(日本酒、料理酒、みりんなど)不使用。

ハラール・メニューはハラール肉のみ使用。メニューブックなどには、その旨、分かりやすく掲載。

ノン・ハラール肉の料理、みりんを使った料理は、一般向けメニューで提供。

Musulim Welcome

ムスリムウェルカム

または

Assalam Menu

アッサラームメ ニュー  

店舗については上欄参照

豚肉・豚由来製品はなし。

ノン・ハラール肉使用することもある。

調理にアルコール系不使用。

特にハラールメニューは提供せず。Assalam Menuとして提供。ただし、使用食材を分かりやすく正直に明示。

メニューはお客さんに選択していただく。(give upも含めて。)

酒類は提供されている。

ハラール認証はしてもらえない。Assalam Menuなどその他の表示は可。 

豚肉・豚由来製品なし。

ムスリム向け料理には、調理にアルコール系(日本酒、料理酒、みりん等)不使用。その旨伝達。

ノン・ハラールの牛・ヒツジ・鶏およびそれに由来する食材(チキンエキスなど)を使用しても受け入れてもらえる場合と、ハラールとされている海鮮・野菜のみを使用し、ノン・ハラール食材を使用しない場合にわかれる。使用した食材など分かりやすく明示すれば、メニューの選択はお客さんに任せる。申込み時に明示すること。

Pork-Free 

または

Assalam Menu

(No pork)

ポークフリー(豚肉・その加工品不使用)

店舗については、上欄参照

ただし、調理にアルコール系を使用。

特にハラールメニューは提供せず、Assalam Menuとして提供。使用食材をムスリムに分かりやすく正直に明示し、 give up も含めてお客さんに選択していただく。

酒類は提供されている。

ハラール認証はしてもらえない。 Assalam Menuなどの表示は可。 

ノン・ハラールの牛肉・ヒツジ肉・鶏肉、及びそれに由来する食材(チキンエキスなど)も原則不使用だが使用することもある。使用した場合は、そのことを事前に伝達すること(予約申込み時などに)。

豚は絶対ダメだが、それ以外のノン・ハラール肉を受け入れる人もいる。使用した食材の正確な情報を提供して、選択はお客さん自身にしていただく。

一部の調理にアルコール系を使用(みりんなど)。そのことは正直に明示。

 
追加説明:

1) 「ハラール・メニュー」は、一般のメニューと別に作ります。けれども野菜サラダなどハラームの心配のないメニューは、特別にハラール食として作ったものでなくても、ハラールなものとして「ハラール メニュー」に含めることができます。

2) 酒類(アルコール飲料)は、ハラール・メニューでは提供できません。ハラール・メニューに飲料(飲み物)を含める場合は、ソフトドリンクなどを提供します。

3) Muslim Friendly Shop でのハラールメニューの調理の過程で、ハラール肉とノン・ハラールの肉(牛・ヒツジ・鶏肉など)が交錯する場合は、調理器具、食器をよく洗ってください(宗教洗浄)。揚げ油・ゆで湯は、ハラール肉とノン・ハラール肉を一緒にして使うことはできません。

4)Assalam Menu」のAssalam(アッサラーム)は、イスラーム世界で最も一般的な挨拶の言葉「アッサラーム アレイクム」の一部で、「こんにちは、ようこそ、いらっしゃいませ」を表します。この言葉には宗教的な趣も多少ありますが、むしろ相手の前途の幸福を祈り、祝い、祝福する気持ちがこめられています。この言葉が表示されたメニューやサービスは、一目でそれがムスリムにとって好ましく、ふさわしいものであるとして迎え入れてくれます。「Assalam」は、「Muslim Friendly」や「Muslim Welcome」などにも増して、ムスリムに「おもてなしの心」を、より親しみをこめて彼ら自身の言葉で簡潔に伝えることができます。

5) ノン・ハラールについては前欄の(注)を参照。