成長途上のハラール市場規模は100兆円超!

 

少子高齢化や長引く経済の低成長により、日本を始め欧米諸国では国民所得は伸び悩み、国内マーケットも一進一退、かっての輝きを失っています。そのような芳しくない状況の中にあって、わが国においては、円安の定着、ビザ取得の容易化、LTTの就航増加、さらには外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充およびそれに伴う免税店の大幅増加などのプラス要因に助けられ、一部のインバウンドビジネスが大いに気を吐いています。中国や香港、台湾などから大勢押し寄せる外国人観光客の陰に隠れて目立ちませんが、マレーシアやインドネシアなどアセアン諸国や他のイスラームの国々からのムスリム観光客も年々着実に増加しています。

イスラーム諸国は高い出生率に支えられた大幅な若年人口増加と、21世紀に入って急速に進んだ経済のグローバリゼーション化、さらに最近は少し価格が低迷していますが、石油資源や原材料物資の世界的な価格高騰など、様々な社会的経済的な要因に支えられ、イスラーム圏の国々、とくにASEANのイスラーム諸国の国民総生産と国民総所得は、堅調に増加しています。それに伴い、活発に消費生活を送る中間所得層の人口も漸増しています。

さて、イスラーム諸国の世界人口は、2014年現在、約16.5億人といわれていますが、2020年には20億人に達すると予想され、世界で人口トップを争う中国やインドをも凌ぐ、超巨大な人口を要するイスラーム世界=イスラームマーケットが現出しようとしています。これらの広大で多様性に富んだイスラーム地域は、ほとんどの国々が、歴史的に長く続いた植民地主義からは開放されましたが、今もなおその後遺症に苦しみながらも、一部の国々や地域を除いて、国力や民力は徐々に充実してきており、生活水準も質と量の両面でともに向上してきています。特にムスリム人口の国別上位10位のうち4位までがアジアであり(1位インドネシア、2位パキスタン、3位インド、4位バングラデシュ)、これらの国々の今後の購買力向上が期待されています。

日米欧などの先進諸国や中国、インドなどの先行新興国などは、この広大で巨大な人口を擁するイスラーム地域を、現地生産の場としてはもちろん、輸出のマーケットとしても非常に重視しています。

これらのイスラーム地域ではほとんどの住民は言うまでもなくイスラーム教徒(ムスリム)ですが、彼らの日常生活はイスラーム法(シャリーア)に従っており、仏教やキリスト教などを信奉する国々や社会とは、生活慣習、生活規範、行動パターンなどにおいてやや異なる点がいくつかあります。

そのなかでも商取引、ビジネスの上で特に注意すべきなのが、イスラーム教独特の食に関する禁忌、すなわちハラール、ハラームの問題です。この点については、「ハラールとは」の欄で詳しく述べています。